
近年オリーブ油が脚光をあびるようになったきっかけはアメリカのミネソタ大学の教授の研究発表の結果によるところが多い。アメリカ人を筆頭に世界的に肥満体の人とそれに伴って心臓疾患者が増えていることに注目し、世界いくつかの国々の食習慣並びに動脈疾患の関連発症率を調べたところ北欧の人々と地中海沿岸の人々はほぼ同じぐらい脂肪摂取しているにもかかわらず地中海沿岸の人々は血清コレステロール値が低く動脈疾患死が少なかったことが分かった。酸化された脂肪は血栓をつくりやすい。つまり血管内の老廃物がたまって血液が通りにくくなる。しかしオリーブ油に含まれるオイレン酸は酸化されにくい脂肪酸なのだ。さらに最近の心臓病学会ではオリーブ油を使う食事は動脈硬化が原因となる心臓病が少ないことが証明された。つまり悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果があることが分かった。またオリーブの絞りかすも最近のバイオマスのブームによって非常に注目されている。まだまだ改良、改善する必要があるがすでに商品になっているという。ブッシュ大統領のバイオマス促進政策の発言以来、大豆、小麦、トウモロコシなど穀物が高値を呼んでいる。それを主食とする人々は大変だ。だがこのオリーブやオレンジの絞りかすだとこの手の問題はない。正に一石二鳥、三鳥である。

スペイン料理のベースは何が何でもオリーブ油と言って間違いない。最近のテレビ局はどこでも料理番組を必ずやっている。日本で四六時中やっているので当然なような気がするかもしれないが昔は(二、三十年前)全くそういう番組はなかった。昼食時にやるので見る気はなしにいつも見てしまうのだが、まずフライパンを加熱しオリーブオイルを注ぎたまねぎのみじん切りを加える。これから後は日によって違うがここまではほぼ毎日同じだ。つまりオリーブ油はスペイン料理の基本中の基本である。随分昔の話だが日本の村山首相がローマ、サミットで腹痛を起こし、あるメディアがオリーブ油に当たったようだと書いてしまった。イタリアはスペインに次ぐオリーブ生産国でありこれまた料理のベースはオリーブ油であり重要な輸出品目だ。これを確かな裏付けもなくオリーブ油のせいにしてしまった。イタリアは日本政府にイタリア大使を通して謝罪を求め、それを扱った新聞も落ち度を認め謝罪文を載せる一幕があった。イタリアもスペイン同様にオリーブ油は自慢なのだ。人の食文化を傷つけるようなことを大新聞が書くと反響は大きい。さてオリーブの収穫だが場所によってだいぶバラつきがあるが冬場の一月から三月が多い。したの網をはって棒の先に二本の釘を打ったもので実をかき落とす。うまい人がやると実だけを落とすがヘタがやるとやたらと葉まで落としてしまう。重労働である。今は機械化されていて機械で収穫する所もあるとと聞いたが現場は見たことはない。どんな機械なのか興味のあるところだ。写真にあるのは棒の先に口を取り付け挟んでかき落とす式だがこの式はスペインでは一般的ではない。

非常に寿命の長い木だ。平均400年と言われている。写真は地中海に浮かぶバカンスの島であるマジョルカ島の県都、Palma de mallorcaの市のど真ん中である市庁舎前広場に保存されているオリーブの木で樹齢千年以上だという。この時はこのオリーブの木がスペインで最も古いと現地のガイドが説明していたがその後調べたらバルセローナの北ジローナ県に樹齢二千年のオリーブがあるというのが分かった。いい加減なことをいう奴だと当時思ったがこういう話は五万とある。スペインで一番古い闘牛場というのがたくさんある。結局はっきりとは分かってないのだ。まあ、それはいいオリーブである。木であるから上のほうに伸びようとする。そうすると収穫するのが大変になるから横に広がるように選定をする。一本のオリーブの木から約70kgのオリーブのみが収穫できる。そして約4kgのオリーブの実から約1Ltのオリーブ油が確保できる。最大はアリカンテのクレビジェンテで290kg取れたというのが記録されていてギネスブックに載っているそうだ。他の植物油と違うのは製造過程で加熱する必要がないことだ。果肉をつぶして放置するだけで油分は軽いので自然に果汁の表面に出てくる。各家庭、手作業でやれた。だから各家庭のオリーブ油は質も味も違っていた。昔の日本の味噌と同じだ。手前味噌でなく手前オリーブ油で自慢の種になっていたのだが今では家庭で作ることはない。機械化された。つまり遠心分離機にかけて効率よく採油している。最初の過程で得られるのがvirgin oilで、その中でも特に品質の高い、香りの高いのがExtra virgin oilだ。しかしこの絞りかすにはまだまだ油分がたくさん含まれているから薬品による抽出で採油される。こちらの方が普通うに市販されているオイルだ。好き好きもあろうがExtra virgin oilは匂いがきつくて(これが香りがいいと言う人もいるわけだが)好きになれない。