Published on October 30, 2007
in スペイン紀行.

約十年の年月をかけてプラド美術館の拡張工事が完成し本日オープニングする。今の現在の規模の五割り増しの広さになるという。夕べは王様並びに王族、大統領夫妻、大臣、文化人が集まりCason de retiroにて前夜祭が開かれた。Rafael moneoの作品だ。本館の方のスタイルを尊重しながら中の方は非常に明るいモダンな造りになっている。最もこの建築家の作品は他の作品にも共通するのだが、外観の方は幾分古典的といえる。しかし内部の方は驚くほど近代的である。Francisco de oizaと似たところがある。直接の弟子かどうか知らんが、たぶん影響を受けたものと思う。またそういう作風だからこそプラドも彼に発注したものと思う。それでこの新館だが、19世紀の作品が展示されるという。vicente lopez,fortuny,madrazo,sorollaなどである。しかし彼らの作品は夕べ前夜祭が行われたcason de retiroに展示してあったものなのだ。プラドの倉庫に眠っていた物が初公開されるのではないかと期待していただけに残念である。

地球温暖化は地球の生死にかかわる大きな問題なのだが、今現在、現実味を帯びた問題ではない(多少の兆候はあるが) しかしこの余り現実味がないと言うのが問題なのだ。人間は予想しないことが起こると大いにあわてるものだが、予想できることでもその時が来ないと動こうとしない怠惰な動物である。ここに声を大にして警告している人物がいる。Al gore前副大統領である。ブッシュ大統領との選挙戦では全投票量は上回っていたにもかかわらずフロリダでわずか五百数票の差で敗戦した悲劇の大統領候補だった。彼は地球温暖化問題を自分のライフワークと定め、積極的に行動している。この問題を危惧する人は多いが彼ほどの大物が動くことはその影響力の点で随分違ってくる。オスカー、ノーベル平和賞、Principe de asturias賞と次々に獲得、その賞金は七割以上この問題を啓発する協会に寄付している。スペインでも超過密スケジュールで講演をこなしていた.またその間にドイツ、フランスを訪問。フランスではサルコシ大統領にこの問題の重要性を納得させ会談後すぐの声明では円で約1600億の対策費を発表するという早業をやってのける。大物であり三つの賞を次々に獲得したこともあり、その言動には自然と威厳というものがでてくる。彼に要請されたら下手な返答は出来るはずがない。心強い人が健闘している。

ある新聞の小さな広告だったのだが、8万ユーロをHuertas solares(集合太陽光発電所、以下ソーラー団地)に投資しませんか。毎月7700ユーロの利益還元をします。と出ていた。どれほどの期間にわたっての利益還元か分からないので、メールを送ったら締め切った後だった。締め切りが異常に早かったことを考えると相当割りのいい話ではなかったかと思う。ソーラー団地なるものがスペイン各地に出現してきた。太陽光発電事業は正に大ブームになりつつある。国の思い切った政策によりこの美味しそうなケーキの分配に預かろうと、企業、自治体、機関投資家などが官民上げて群がってきた形になっている。どういう政策かというと太陽光発電による電力はkwにつき44centimoで買い上げると言うものだ。通常の他の発電法(火力、水力、原子力など)による買電価が平均10centimoである。それで肝心の太陽光発電によるコストなのだが非常に幅がある。買値が決まっているのだからなるだけ安く発電できるよう頑張ることになる。つまりここに企業努力が反映してくる。例えば取得する土地はタダではないから同じ面積なら多くの出力を得れるよう研究するだろう。何せソーラー団地は広大な土地が必要だ。現在の一般的変換効率のパネルを使った1000kwのソーラー団地はサッカー場三個分の広さが必要となる。また向きも重要だ。まさか北向きに造る馬鹿はいないだろうが、同じ南向きでも1度の角度の差でも年間を通すと発電量が随分違ってくる。勿論一番の問題は天気である。日照時間、つまり雨、雲の少ない土地が良いに決まっている。アンダルシア、ムルシアが一番適している。しかし人口比で一番設置料の多いのは北スペインのナバーラ県である。この県は風力発電もそうだが自治政府が代替エネルギーを大いに推進している。ともかく最も問題になる発電単価だがおそらく効率の良いところではもうkw当たり10から15centimoを達成しているものと思われる。つまり国が必ず買い取ってくれるのであるのだからこんなボロい話はないのだ。然るにこれに猫も杓子も狸もいたちも群がってきた。(話は飛ぶが、小休止。この猫と杓子の関係が長い間分からなかった。最近分かったのだが猫は猫でなく寝る子、つまり娼婦で杓子は爵位を持った人、だから高貴な人から社会の底辺の人間まで誰も彼もという意味なのだ。)中でも一時の不動産ブームでしこたま儲かった建設、不動産業者の進出が目立つ。次は代替エネルギーと読んだのだろう。中でもAccionaはスペイン一の電力会社EndesaをイタリアのEnelと共同で買収してしまった。またスペイン一の建設会社で前Real Madrid会長だったFlorentino Perez率いるACSはスペイン三位の電力会社Union Fenosaの株を大量に取得し筆頭株主となった。これで電力事業のKnow Howを得た彼はSevilla県のSan lucar la mayorに大規模のソーラー団地を造っている。各業者、自治体などのソーラー団地計画は目白押しである。その嘆願、申請数の量の合計は何と10000mw。10000mwと言ってもピンとこないが今現在全世界で設置された太陽光発電量が6634mwだからそれを超える膨大な量といえる。政府もそんなにはカバー出来るものではない。損は覚悟の振興策であり、元をただせば国民の税金で補填するわけだから上限を設けた。2009年までの1200mwについてはと言う風に限定した。当然はみ出た業者は出てくる。中には既得したライセンスの裏取引が百万ユーロ(1億6千万円ほど)ほどだという(Expansion06-10-2007)実体のないものに金が動くバブル現象がこの世界でも起こるとしたら考えもんである。ここでも不動産業者が暗躍しているという(同Expansionより)2009年以降はこの助成制度も5%ずつ漸次落としていくというのだがそれでも率のいい話である。問題は2009年以前に1200mkを達成した場合は(充分ありうる)はどうなるのか。この答えは出ていない。需要が多すぎるからと言う理由で勝手にこの助成制度を打ち切られたらどうなるか。金融機関はもうすでに懐疑的になっているようでこの方面の投資には慎重になっているという。スペインでは法律は作るもので守るものではないと言う言葉がある。