
軍事的にこの上なく重要なこの海峡は海洋動物の宝庫でもある。地球上の海洋動物の20パーセントがここを通るという。そんなことがありうるのだろうか疑問だが、彼らにとって非常によい環境があることは間違いないようだ。冷たい海、大西洋と暖かい海水の地中海が出会うこの海峡近辺は、大量の栄養分を含む深層海流が上昇し理想的な海中生息形態を作っている。大量に発生するプランクトンを求めて海中動物が集まってくる。中でも産卵のために地中海に入ってくる回遊魚はこの狭い海峡を通らざるを得ないのだ。暖かい海である地中海では高級魚はあまり取れないが回遊魚は別だ。なかでもクロマグロは乱獲で資源が少なくなっている。500キロにもなるマグロを小さいうちに捕ってしまうのだからもったいない話だ。トルコの魚の競りの風景で50キロほどの超小型のクロマグロが無数に並べられているのを見たことがある。大体トルコの食文化にはマグロ料理は極く少ないのだ。じゃなぜ獲るのか。日本がいくらでも買ってくれるからだ。最近は世界的日本食ブームで日本人だけが食べあさっているわけではないが、それでも異常だ。極め付きは産卵のために地中海に入ってきた母マグロを産卵の前に獲ってしまうことだ。一応、規定はあるようだが、海賊漁船が氾濫しているという。その海賊漁船から誰がマグロを買うのか。多分、日本だろうな。何かやりきれなくなってしまう。
Archive for March, 2009

ジブラルタル。何ともロマンを感じさせる響きがある。世界史や映画にたびたび出てくることもあるし、私がスペインに来た頃は陸続きでありながらスペインから入ることは出来なかった。まだフランコ独裁の時代で、フランコは行き詰った内政の国民の目をそらすためジブラルタル返還を国民運動に仕立てあげてしまった。その結果、英国領ジブラルタルは対岸のモロッコか、ロンドンから航空機でしか入れない陸の孤島になってしまった。このなかなか行けないということが余計にロマンを感じさせたのかもしれない。有史以来常に争奪戦の舞台となったところだ。地中海を制するものは世界を制すると言われた。広大で穏やかな内海である地中海は最高の海路だ。その制海権を取るということは莫大な利益が保障された。古代ギリシャ、フェニキア、カルタゴ、古代ローマ、オスマントルコ、そしてそのオスマントルコをスペインを中心としたベネツア、ローマ教皇軍などの連合軍が1571年レパント沖海戦で破り、スペインも七つの海に君臨する黄金時代が現出する。しかしイギリスをつぶすために造られたスペインの無敵艦隊が逆に1588年、一連のアルマダ海戦に敗れてしまい、欧州の海上権はイギリスが独り占めしてしまう。その後本国の何十倍もの植民地を領有する大帝国になるのだから地中海の海上権掌握による経済効果の程は歴史が教えている。北アフリカの石油確保が命題であったナチス、ヒトラーも結局はジブラルタル海峡を輸送船団が自由に通れなかったことが敗因担った。最短距離で13kmしかない海峡をおさえた国は常に超強大国になった。有史前より各民族が血で血を争ったジブラルタルこそマイナーであるが真の意味で世界遺産ではないだろうか。
昨日の新聞に本年版の世界の富豪ランキングが記載されていた。それによると一位はマイクロソフトのビル、ゲートが返りざきしていた。十位以内にはインド人が二人(製鉄王ミタルと石油化学業のアンバニ)が入っていた。そして十位はスペインのアマンシオ、オルテガ(Amancio ortega)で総資産183億ドルという。彼は日本にも進出しているZaraというブランドをはじめとする衣料メーカーInditexの総帥だ。1936年生まれの73歳。14歳の時から衣料品店の店員として働き始め、赤ちゃんのよだれかけに注目し、GOAという会社設立。彼は小売に止まらず生産、デザイン、営業網を確立し高額商品が乱立するブランド業界に若者層を狙ったカジュアルブランドZaraで打って出た。1975年にコルーニャに一号店、その後次々にスペイン各地に出店し、1988年にはポルトガルのオポルトに国外初店舗を設け、今では48カ国650店の世界でもトップクラスの小売業者に急成長した。前の奥さんとの間に二人の子がいるが男の子の方は生まれつきの脳障害児だ。あまり人前に出ることはないのだが、数少ない写真には憂いと影が伺える。前の奥さんとの離婚もそれが原因しているという。お金を作る機械とまで称される人だが内情は決して明るいとは思えない。しかしこういう富裕層ランキングには日本人が出てくることはないのはどういうことだろう。財産隠しがうまいのかそれとも本当に個人の超金持ちはいないのか。日本で一番の金持ちは、みのもんた、という話もある。ちなみにスペイン二位の金持ちは彼の前の奥さんだそうだ。
