
軍事的にこの上なく重要なこの海峡は海洋動物の宝庫でもある。地球上の海洋動物の20パーセントがここを通るという。そんなことがありうるのだろうか疑問だが、彼らにとって非常によい環境があることは間違いないようだ。冷たい海、大西洋と暖かい海水の地中海が出会うこの海峡近辺は、大量の栄養分を含む深層海流が上昇し理想的な海中生息形態を作っている。大量に発生するプランクトンを求めて海中動物が集まってくる。中でも産卵のために地中海に入ってくる回遊魚はこの狭い海峡を通らざるを得ないのだ。暖かい海である地中海では高級魚はあまり取れないが回遊魚は別だ。なかでもクロマグロは乱獲で資源が少なくなっている。500キロにもなるマグロを小さいうちに捕ってしまうのだからもったいない話だ。トルコの魚の競りの風景で50キロほどの超小型のクロマグロが無数に並べられているのを見たことがある。大体トルコの食文化にはマグロ料理は極く少ないのだ。じゃなぜ獲るのか。日本がいくらでも買ってくれるからだ。最近は世界的日本食ブームで日本人だけが食べあさっているわけではないが、それでも異常だ。極め付きは産卵のために地中海に入ってきた母マグロを産卵の前に獲ってしまうことだ。一応、規定はあるようだが、海賊漁船が氾濫しているという。その海賊漁船から誰がマグロを買うのか。多分、日本だろうな。何かやりきれなくなってしまう。
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ジブラルタル。何ともロマンを感じさせる響きがある。世界史や映画にたびたび出てくることもあるし、私がスペインに来た頃は陸続きでありながらスペインから入ることは出来なかった。まだフランコ独裁の時代で、フランコは行き詰った内政の国民の目をそらすためジブラルタル返還を国民運動に仕立てあげてしまった。その結果、英国領ジブラルタルは対岸のモロッコか、ロンドンから航空機でしか入れない陸の孤島になってしまった。このなかなか行けないということが余計にロマンを感じさせたのかもしれない。有史以来常に争奪戦の舞台となったところだ。地中海を制するものは世界を制すると言われた。広大で穏やかな内海である地中海は最高の海路だ。その制海権を取るということは莫大な利益が保障された。古代ギリシャ、フェニキア、カルタゴ、古代ローマ、オスマントルコ、そしてそのオスマントルコをスペインを中心としたベネツア、ローマ教皇軍などの連合軍が1571年レパント沖海戦で破り、スペインも七つの海に君臨する黄金時代が現出する。しかしイギリスをつぶすために造られたスペインの無敵艦隊が逆に1588年、一連のアルマダ海戦に敗れてしまい、欧州の海上権はイギリスが独り占めしてしまう。その後本国の何十倍もの植民地を領有する大帝国になるのだから地中海の海上権掌握による経済効果の程は歴史が教えている。北アフリカの石油確保が命題であったナチス、ヒトラーも結局はジブラルタル海峡を輸送船団が自由に通れなかったことが敗因担った。最短距離で13kmしかない海峡をおさえた国は常に超強大国になった。有史前より各民族が血で血を争ったジブラルタルこそマイナーであるが真の意味で世界遺産ではないだろうか。

自然の要塞としてはこのジブラルタルほど完璧な所はないのではないだろうか。古代の昔から地中海洋民族は制海権をかけて争ってきた。そしてそれを得た民族は必ず巨大化した。広大な地中海の出入り口はその名も同じジブラルタルという狭い海峡(アフリカまで最短で13km)しかない。そしてそこには丸で軍艦の形をしたジブラルタルの巨岩があるのだ。地中海の喉元、あるいはその形から行っても地中海の喉仏といえる。この地(ジブラルタル)と地中海の島(結果的にはマルタ島)を軍事化すれば地中海の海上権と制空権は確保できる。そして実際にそれを実現したのがイギリスだった。フランスに言いがかりをつけてスペイン継承戦争(1701-1713年)を起こし、同盟国に引きずり込んだオランダ、オーストリアは大陸側ということもあり被害甚大だったが戦争を起こしたイギリス本国はほとんど無傷で戦利品のジブラルタルとメノルカを占領する。正にイギルスの一人がちだった。後に地中海のほぼ真ん中のマルタ島を占領するにいたって地中海の西のはずれに位置するメノルカ島には興味が失せてしまい返還される。6,5k平米、日比谷公園と同じぐらいの広さと前に書いたが50kmの道路と50kmのトンネルがあり完全に要塞化されている。特にこの地の利が有効化するのが第二次世界大戦だった。砂漠の狐と称された天才的軍事家ロンメルも本国からの軍事物質が届かずエル、アラメインの戦いで敗北することになる。つまり軍事物資を積んだドイツの輸送船がジブラルタル海峡を通るとこは不可能だったのだ。ジョン、レノンとオノヨーコまたチャールズ王子とダイアナ王妃の新婚旅行にも立ち寄りスペインを刺激し、特にチャールズ王子の結婚式にはスペイン王室は参加を拒否した。何かにつけて話題になったところである。