
自然の要塞としてはこのジブラルタルほど完璧な所はないのではないだろうか。古代の昔から地中海洋民族は制海権をかけて争ってきた。そしてそれを得た民族は必ず巨大化した。広大な地中海の出入り口はその名も同じジブラルタルという狭い海峡(アフリカまで最短で13km)しかない。そしてそこには丸で軍艦の形をしたジブラルタルの巨岩があるのだ。地中海の喉元、あるいはその形から行っても地中海の喉仏といえる。この地(ジブラルタル)と地中海の島(結果的にはマルタ島)を軍事化すれば地中海の海上権と制空権は確保できる。そして実際にそれを実現したのがイギリスだった。フランスに言いがかりをつけてスペイン継承戦争(1701-1713年)を起こし、同盟国に引きずり込んだオランダ、オーストリアは大陸側ということもあり被害甚大だったが戦争を起こしたイギリス本国はほとんど無傷で戦利品のジブラルタルとメノルカを占領する。正にイギルスの一人がちだった。後に地中海のほぼ真ん中のマルタ島を占領するにいたって地中海の西のはずれに位置するメノルカ島には興味が失せてしまい返還される。6,5k平米、日比谷公園と同じぐらいの広さと前に書いたが50kmの道路と50kmのトンネルがあり完全に要塞化されている。特にこの地の利が有効化するのが第二次世界大戦だった。砂漠の狐と称された天才的軍事家ロンメルも本国からの軍事物質が届かずエル、アラメインの戦いで敗北することになる。つまり軍事物資を積んだドイツの輸送船がジブラルタル海峡を通るとこは不可能だったのだ。ジョン、レノンとオノヨーコまたチャールズ王子とダイアナ王妃の新婚旅行にも立ち寄りスペインを刺激し、特にチャールズ王子の結婚式にはスペイン王室は参加を拒否した。何かにつけて話題になったところである。
Archive for the 'スペインの奇岩' Category

スペインの不幸を全て背負って生まれたのがカルロス二世だ。スペイン、ハプスブルグ家最後の王だがEnfermiso病弱,あるいはEl hechizado呪われた王、というあだ名がある。純血を尊ぶ家系ハプスブルグが引き起こした非人間的歴史の象徴と言える。カルロス二世は父フェリッペ四世が自分の実の姪マリア、アナとの間に出来た子だ。それだけじゃない。そのマリア、アナのお父さんはフェリッペ四世の従兄弟だし、フェリッペ四世のおじいさんのフェリッペ二世も実の姪アナと結婚している。このすさまじい近親結婚は犬や猫もあきれるぐらいの畜生道の世界だ。sanchez coelloが描いた肖像画が残っているが白痴その物だ。しかしこれは王室御用画家が描いたものだ。実際はもっと化け物じみていたのではないかと思う.九歳で即位するのだが読み書き一切できなかったと言う。そして王家にとって最も大事なことは彼には生殖能力もなかったということだ。つまりインポだったのだ。1700年ちょうどにカルロス二世が亡くなると跡継ぎがいなくなったスペイン王家を狙ってフランスはルイ14世の孫をスペイン王に送り込もうとする。これに待ったをかけるのがイギリスだ。フランスがスペインとその広大な領土を併合すれば一大強国が出来上がる。オーストリア、オランダをたき付けてフランスに宣戦布告をする。結局イギリスが優位のまま1713年に和約が成立、フランスはスペインを併合しないことを条件にルイ14世の孫をスペイン王フェリッペ5世として認めた。そして一応敗戦国ということでフランスは北アメリカでの広大な領土を割譲されスペインはジブラルタルと地中海に浮かぶメノルカ島をイギリスに取られてしまう。メノルカ島は戦略的に余り意味がないと分かったのか後に返却するがジブラルタルはいまだにイギリス領だ。それにしてもたった一人のインポが歴史を変えるとは・・・ しかしフランスがスペイン併合に成功していたらスペインと中南米の広大な土地はフランス語圏になっていたのだろうか。それも今ひとつすっきりしないな。

世界に数ある飛行場の中でもこのジブラルタルのそれは最もユニークではないだろうか。滑走路のほぼ真ん中を道路が横断していて飛行機の発着時にだけ道路の信号が赤になる。この時は車も歩行者も待ちぼうけを食らうのだが安全を期しているのか長いこと待たされて開かずの踏み切りになってしまう。フランコ時代(75年まで)は独裁者の常で国民の不平をそらす政策で返還運動を国を挙げてやった結果、国交は険悪状態になり長いこと国境は閉鎖され陸の孤島と化した時代もあった。食料や飲料水は対岸のアフリカのモロッコから調達していた。今では自由に行き来できるしスペインの航空会社イベリア航空もこの空港を使えるようになった。広さ6,5kmと前回書いたが調べたら東京の日比谷公園と同じくらい、皇居の17分の一しかない。しかもほとんどが岩山で平地部は極端に少ないのだ。農地、牧草地など一切ないから当然食料は全て輸入だ。動物は猿だけだ。猿といえばジブラルタルの猿は名物の一つになっている。北アフリカ原産の猿と同類だと言うからイスラム教徒が侵略した八世紀以降に持ち込んだのだろう。いつしかジブラルタルの猿がいなくなる時がイギリスの当時の終わる時という迷信が出来たそうで歴代最も有名なイギリス首相チャーチルはアフリカから同種の猿の移入を命じた。あの顔相からは想像できないが結構迷信深い人物だったようだ。